あなたへの警告

翔泳社刊
「奪われし未来」より

要約「奪われし未来」

索引

ページ 概      要  
298

この安全基準を見事にクリアーした、DDT「奇跡の殺虫剤」
農場、家屋、庭、郊外の街路、蚊の駆除対策(日本ではしらみ退治、に髪の毛にもかけたと聞いています)・・・。

300 レーチェル・カーソンは「沈黙の春」で、殺虫剤とガンとの関連を強調している。生殖異常も理解していたが当時の内分泌学の水準に問題があったのだろう。
301 1969年国立ガン研究所は「沈黙の春」に刺激されて、はじめた動物実験を一段落させた。その結果わかったのは、低レベルのDDTに長期間さらされたマウスには、高い頻度で、肝臓腫瘍が生じるという事実だった。そのほぼ一週間後、リチャード・ニクソン大統領はDDTの使用禁止を求める、17名の国会議員からの請願書を受理した。DDTはガンを誘発する、有害物質だからというのが申請理由だった。うのが申請理由だった。
1972年DDTの使用をほぼ全面的に制限することとなった。
「発がん性=有害物質」との図式ができてしまった
303 このガン偏重主義が災いして、ガン以外の危険を知らせる信号は、完璧に見落とされてしまった。
304〜305

ホルモン作用撹乱物質は、環境でごく普通に検出できる程度のレベルであれば、細胞死も引き起こさないし、DNAも傷つけない。この化学物質のターゲットは、ホルモンだけなのだ。ホルモンは体中に張り巡らされた、コミュニュケーション・ネットワーク内を、絶えず循環している化学メッセンジャー(化学伝達物質)である。それに対してホルモン様合成化学物質というのはいわば、生体情報ハイウェーに住みついて、生命維持に不可欠のコミュニュケーションを寸断してしまう、暴漢のような役回りを演じている。メッセンジャーに襲いかかったり、メッセンジャーになりすましたりするのだ。そして生体内の化学信号を混乱させ、メッセージを滅茶苦茶にかき混ぜ、果てはニセ情報をばら撒いたりする。ホルモンのメッセージは性分化から、脳の形成にいたる、実に多様な発育プロセスに関わっている。その要所、要所でコーディネーターという大役を演じている。だからこそホルモン作用撹乱物質は、出生前や出生後しばらくの間は、特に危険な因子なのである。五体満足で健康な赤ん坊が産まれるかどうかは、妊娠中のしかるべき時に、しかるべきホルモンメッセージが正しく胎児に、送り届けられたかどうかにかかっている。大きな建物を建設中に、作業者の会話が寸断されたら? 空調システムの設定温度が異常に高くなったり、高層ビルに本来8機あるべきエレベーターが1機しかなかったり、ということにすらなりかねない。
・・・同じように赤ん坊の知能も遺伝子だけでなく、発育のポイントとなる時期に供給される、甲状腺ホルモンに左右されるのである。

306

耐性の問題・・・現時点で言えることは、人体には、化学物質によるホルモン作用の撹乱に関するかぎり、修復機能を持っていないということ。
旧来の毒物と反応とが正比例するという、反応曲線。合成化学物質には逆U字の反応曲線(非単調反応)は普通にある。


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