あなたへの警告

翔泳社刊
「奪われし未来」より

索引

要約「奪われし未来」

  要約17  要約18  要約19 

     死の年代記
ページ 概      要  
249 カエルの激減について
透水性の皮膚を通じて呼吸と水分吸収を行うため、カエルはほかの生物に比べて、環境内に蔓延している化学物質を体内に取り込みやすい
ホルモン・メッセージを撹乱する合成化学物質に対して格段に弱い
250

謎の多い渡り鳥の現象について
汚染物質は脂肪に蓄積されていく、その脂肪を燃やし尽くしてしまったらどうなるのか
脂肪がエネルギーに変わるさいに、血液中に放出され、十中八九は生殖器か脳へ送られるはず
故に、渡りの能力がなくなったのではないか
生殖能力を失ったのではないか今なお、不明ではあるが

252

野生生物の危機と、ホルモン作用の撹乱との関連性を裏付ける証拠と理論は、続々と現われている。内分泌系撹乱物質こそが、地球の生物多様性を長期にわたって脅かす、元凶であるとする見方が濃厚になっている。

運命の転機

ページ
254 すでに見てきたように、内分泌系のような生理学上の基本プロセスは、数億年に及ぶ生命進化の過程ではさほど進化を見せていない。生命進化という壮大な実験では多種多様な生命形態が次々と生み出されてきたが、生命の生化学組成は現在も太古のまま、ほとんど変わっていない。
255

丸太の上で甲羅干しをしているニシキガメの体内を周流するエストロゲンは、ヒトの血液中をものすごい勢いで駆け巡っているエストロゲンと、何ら変わるところがないのである。
 人工的な環境で暮らしていると、自分の健康や幸福が実は自然界のシステムに、深く根ざしているという事実を忘れてしまう。
・・・住んでいる場所が東京であれ、ニューヨークであれ、農場や産業汚染源から数千キロメーターはなれた北極にあるイヌイットの村であれ、ヒトの脂肪細胞には、残留性合成化学物質が蓄積されている。この種の化学物質は、分かちがたく織り成された、相互作用のネットワークを通じて、人類一人ひとりの体内にまで忍び込んでいる。
256ホルモンの作用機序についてはかなりの事がわかっている。化学メッセージが送り届けられる仕組みはもちろん、そうしたメッセージがある種の合成化学物質によって阻害される仕組みは、余すところなく解明されている。ホルモンが哺乳類全般にわたって、基本的に同じやり方で発育をつかさどっている事も確認されている。DESの事件に照らせば、ヒトをはじめとする哺乳類全般に、同じようにホルモン作用の撹乱が見られることは、動かしがたい事実なのである。




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