あなたへの警告

翔泳社刊
「奪われし未来」より

ページ 概      要  
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1960年代 五大湖の養殖ミンクの死と生殖不全を研究
ミンクが死滅した理由は、PCBに対してきわめて過敏だった事だ
メスは0.3ppmから5ppmのPCBが含まれた食物を与えると、子どもを生めなくなった。この濃度は今日(1996年当時)五大湖で取れる魚や、ヒトの母乳の乳脂肪に含まれるPCBと、同レベルである。大人のミンクは3.6ppmから20ppmのPCBで死にいたった。
1950年代 同じような現象が英国および、ヨーロッパ大陸の カワウソのあいだでおこっていた

242 多くの野生生物が汚染物質による生殖問題をかかえている。中でもクジラ、イルカ、アザラシ、などの海洋哺乳類や、ホッキョクグマは絶滅の危機に瀕しているといえる。残留性化学物質は海での食物連鎖をめぐって蓄積され、濃縮されていく。そして寿命の長い捕食者を高いレベルの汚染にさらす
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1987年ジステンバー・ウィルスのため、推計1万頭ものバイカルアザラシが死んだ 同年ニュージャージー州からフロリダ州でバンドウイルカが700頭以上(沿岸海域を回遊する半数を超える)
1988年北海で2万頭のゴマフアザラシが数ヶ月のうちに死亡(地域の個体数の60%を越える)
1990年から1993年までに、1000頭を超えるシマイルカの死骸が地中海沿岸に打ち上げられた
上記の解剖所見
死んだ個体は免疫系のはたらきが弱っていて、体内からはPCBなどの汚染物質が高レベルで検出された

246 実験
汚染度の低い、北大西洋産の魚を与えたものアザラシ
汚染しているバルト海の魚で、北大西洋産の10倍のダイオキシンのような作用をする、有機塩素や化合物に汚染されたニシンを与えた、だがそれは一般市民が食べるものであった。
結果
2年間にわたって与えられたアザラシ
免疫機能の低下
ウィルス感染に対する抵抗力の弱化を示す症状
ナチュラルキラー細胞20〜50%低下
T細胞20〜60%低下
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生殖系と同じように免疫系も、出生前の発達段階でホルモン作用撹乱物質の打撃をこうむりやすい
動物実験とDESに暴露したヒトの事例でわかっていることだが、この種の物質にさらされると、免疫系の発達が阻害され、しかもその影響は生涯にわたって消える事はない
海洋哺乳類の大量死はこうした先天性の免疫不全と、誕生後に汚染海域で、長期間にわたって暴露してきた有毒化学物質との「悪の相乗効果」によって引き起こされた

長寿であることで「タイムラグ」が生じる


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要約「奪われし未来」

索引

  要約16  要約17  要約18 

     死の年代記