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幸福の報告書

用意したデザートです、子どもである妻のマリヤに時々果物が無くなるよと催促をしていますし、時々、どうしてこういうものを買ってきたのといっているマリヤの声も耳にします。
 とにかく果物は欠かせません。「あー美味しかった」、そう言ってテーブルを離れます。
 食器を流しに運び、洗い物が始まります。一般的に風呂場で体を洗うときに使われる小さなイスが、我が家の流し台の近くにあります、それは家を建てるとき少し足が悪い祖母と同居することが決まっていましたので、全て段差のないバリアフリーで作りましたが、まさか、ほとんどの洗い物をその祖母がするようになるとは想定していませんでした。今は、システムキッチン全体を
15センチぐらい低くしておけば良かったと思っています。マリヤ自身のために低くカットしようかという話も出ていたのでとても残念でなりません。
 その風呂用のイスにのり、じゃぶじゃぶと洗い始めます。水は環境を汚染し、身体にもよくない食器洗剤を使う必要はありませんので、水だけでさっぱりと綺麗になりますし、何より祖母のつるつるしている手を見ていただきたいと思います。食器洗浄器は最初から付いているのですが洗い終えた物の水切りのためだけに使っています。食器が並び、引き出されている食洗機の周りの床に水が飛び散っています、それは雑巾で、足を使ってふき取ります、行儀が悪いと思われるでしょうが膝を曲げるのが苦手なこ
96歳ということでお許し願います。
 次にその頃、済んでいる洗濯物が待っています。ことわっておきますがマリヤがナマケモノで自分の母にやらせているというわけではありません。祖母に対して、できることはどんどんやってもらうこと、仕事を取り上げないことが本人のためになると、常、日頃からの持論で、日常の雑事を全て残してよく出かけて行きます。ちなみに毎日の掃除機を掛けること、週一回程度の雑巾掛けは私の担当になっています。掃除機を毎日私が使う事には訳があります、インターネットで注文し宅配便で「さくら」がやって来たのは
6年前、私は出張でどこかのホテルから携帯電話で生後40日の「さくら」の子猫のような鳴き声を聞いたのを覚えています、数ヶ月たった頃より掃除機の音が鳴り始まるとまず、ノズルの先の吸引部に攻撃を仕掛け、数秒後におもちゃにしている15センチほどのロープを持ってきます、それを投げるとまた持ってきます、これを繰り返します、掃除が終わるまでワンワンと吠えながら続けます。ほとんど毎朝、二匹を連れ近くの公園でバナナのおもちゃを投げて遊ばせる事とともに、それは今でも毎日、さくらの日課です。一方、ベアッチは外に出るとはしゃぐのですが家の中いるときはソファーや下駄箱の下でのんびり休んでいます。「動のさくら」「静のベアトリス」年齢には関係ないようです。洗いあがった洗濯物を容器に移し、スースーと、
数年前に、私が仕事で余った鉄のアングル

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