車椅子カヌーの実情と課題

                                 入間川筋文化ネットワーク
                                      事務局 神田 正

 ユニバーサルデザインという、基本コンセプトが欠けていると言われている日本社会の実情を、河川という場から車椅子カヌーを使い、地域・自治体・あるいは国全体へとこの考え方を広げていけるのではないかと考えます。
 子どもたちに対し、川は危険だから近づいてはいけませんという教育が近年より、行われるようになり、健康な子供たちでさえも近寄らなくなったと嘆く、漁業関係者あるいは、自然の中で遊ぶ楽しさを体験している大人たちはたくさんいます。
 そんな川に車椅子の生活をなさっている方々を呼ぼう、という試みです。体験された障害のある方は、本当に楽しかったと感想を述べています。
 土方教授は知的・身体を含むあらゆる車椅子生活者が、車椅子のまま移乗できるカヌーを考案いたしました。タイプは目的別に以下開発されています。

1号艇 介助者が同乗するタイプの双胴船(一般的にはこれを指しま)
2号艇 1号艇の後部に乗降用のローダーを格納できるようにしたもの
3号艇 スポーツ性を重視した、競技を可能にしたもの
     以上3タイプが強化プラスチックにて製作されています。
4号艇は木材を使用したまったく異なった環境配慮型のものです。

 2005年から土方教授(川筋代表)の指導のもと試作・製作・研究がなされて今日に至っています。
 今年度(2009年)は3回、1号艇を使っての体験講習が実施されました。

 7月26日  埼玉県の「川ガキ養成西部塾」との協力イベント
        あめんぼ広場(水辺の里親制度による川筋管理)にて障害者2
        名の参加を得て実施                    
 8月30日  大森調節池祭りにて 60台後半の車椅子生活者(御婦人)にご参
        加いただきました 
 10月18日 埼玉県の水辺再生・協力イベント、「飯能河原で遊ぼう」
        埼玉県上田知事が試乗・体験されました。98歳を超えた、元気な老
        人(婦人)も楽しみました。
         
 講習につきましては、川筋会員等学んでいますが障害者に対する専門知識、またカヌー経験も必要となり、それらを有した介助者、同乗者の養成がなされていないのが現状です。一言で障害をお持ちの方とくくってしまうのは簡単なのですが、その障害はすべての人が違います。それらの方々に対しての対応ですので指導者、介助者の養成は困難を極めます。そのことへの取り組みを今後、実施してまいりたいと思います。