あなたへの警告

翔泳社刊
「奪われし未来」より

要約「奪われし未来」

がんについて

ページ 概     要
p271・272

前立腺がん
成長後にはじめてごく少量のエストロゲン暴露を経験した場合でも、それが長期にわたるなら、前立腺に深刻な影響を及ぼすおそれがある。タフツ大学のシュク・メイ・ホーはラット実験によってエストロゲン暴露が長期に及ぶと、前立腺がんが誘発されうることを確認した。前立腺がんは、この20年で激増し、現在では(1996年出版)米国人男性がかかる疾病の筆頭と目されている。男性のがんの実に70パーセントを占める勢いなのだ。国立がん研究所の報告によれば前立腺は1973年から1991年に126%も増加している。・・・高レベルのエストロゲンと前立腺がんの間につながりがあることは、動物実験の結果が示すとうりだ。人が合成化学物質に暴露する機会が過去半世紀の間にますます増していくにつれ前立腺疾患の発生率も高まってきた。ホルモン由来の疾病とホルモン様合成化学物質とのかかわりは、いまや最優先の研究課題と言えるだろう。

 索引   がん  


p273・274

子宮内膜症
流産、子宮外妊娠、子宮内膜症といった女性特有の生殖障害とホルモン作用撹乱物質との関係も、動物実験とDESにまつわる経験から予想可能である。・・・ホルモン作用撹乱物質も重要な要因・・・国立小児保健・発達学研究所の調べでは、出産適齢期にある米国人女性の10ないし20%が子宮内膜症にかかっている。ちなみに1921年以前には世界中の医療文献を渉猟してみても、子宮内膜症についての報告はわずか20例しかなかった。
p274

乳がん
現代女性の健康にとって、もっとも憂慮すべき問題は、乳がんの増加率だろう。乳がんは女性が一番かかりやすいがんである。・・・一般的にいって乳がんになる危険性は、一生のあいだにどれだけエストロゲンに暴露するかにかかっている。・・・エストロゲン暴露量の総量が、乳がんを誘発する唯一重要な危険要因である以上、この総量を増やすエストロゲン様化学物質は、過去半世紀の間、乳がんを増加させてきた有力な容疑者といってよい。米国では化学時代の幕開けと成った1940年以来乳がんによる死亡率は毎年1%ずつ上昇している。・・・1980年から1987年にかけての米国における乳がんの症例数は32%も跳ね上がっている・・・50年前の米国ではにゅうがんになる女性は20人に1人だった。ところが現在ではそれが8人に1人となっている。